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躁状態で橋から川に飛び込んだ話

現在私はかなり落ち着いていますが、以前は不定期にうつ状態と躁状態を繰り返していました。

服用している薬は躁状態を抑えるものと抗うつ剤、それに睡眠導入剤を少しです。

実は過去通っていた病院がある事情で突然閉院してしまい、現在の主治医のもとでは躁状態が現れたことがないので、うつ病との診断名が付いています。

根拠のない自信で橋から飛んだ

強い躁状態を体験したのは20代の頃でした。

自分は何でもできる、すべてを理解しているという万能感。

宇宙と一体化したようなえもいわれぬ多幸感。

根拠もなく気分が盛り上がって仕方がありませんでした。

誰かと話したくて、相手のことも考えずに何年も会っていない人たちに手当たり次第に電話をかけてみたりしたこともありました。

そして私は、とんでもないことをしでかしました。

夏の夜、空を飛ぶのはどんな気分なのだろうかと思い、橋から飛んでみたのでした。

2、3秒の間、私は宙にいたと思います。そしてドボンと、暗い川の中に沈んでいきました。

水面に浮いた私は川岸へと泳ぎ始めました。

30分も泳げば川岸に着くだろうと思っていました。

徳島にお住まいの方は、吉野川といえばわかってくださるかと思います。結構大きな川です。

泳いでも泳いでも一向に前に進まず、ついに私はあきらめて、上を向いて浮かんだまま流されていきました。

ふと橋を見上げると、赤いライトがちらちらと光っているのが見えました。

何かあったのだろうか、と、完全に他人事でした。

このまま海まで流れていったら、私はどうなるのだろう。

海岸に打ち上げられて、海水浴の客に発見されるのだろうか。

それともイカにでもなるのだろうか。それも悪くない。

そんなことを考えていると、突然誰かに腕をつかまれました。

若い警察官が私を引き上げようとしていて、隣にいるおじさんが「そんなんじゃだめだ」というようなことを叫んでいました。

結局私は病院に運ばれ、低体温症になるすんでのところで助かったのでした

躁状態は本当に恐ろしいものです。

大勢の人を巻き込んで迷惑を掛けたり、傷つけたりしてしまうことがあるのです。

そしてうつ状態になると、そのときのことで自分を責め、ますます悪くなっていくのです。

つないでくれた命

これは後で聞いた話ですが、何かが川に落ちた音がしたので、おじさんが警察に連絡してくれたのだそうです。

その後おじさんは船を出して、警察と一緒に私を探してくれたのでした。

おじさんは名前も告げずに、「この川に飛び込んで助かるなんて、この子はよほどいいことをしていたのだろう」と言って去っていったのだそうです。

私は何もいいことなんてしていません。ただの親不孝者です。亡くなった祖母にも何もしてあげませんでした。

それでも私は引きこもりから脱出し、再就職することができました。

おじさんが気付いてくれなかったら、きっと今の私はいなかったでしょう。

もう一度会えるなら、胸を張ってお礼を言いたいです。

あのとき助けてくれたみなさん、本当にありがとうございました。

今も辛いことはたくさんありますが、それでも生きていたいと思います。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

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